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オンラインミートアップ TOKYO FUNECTION! vol.1 東京の水辺と舟運の未来を語り合う一夜

ー9/2開催 イベントレポートー

東京の水辺は、ワクワクできる場所になるのか?

9月2日、舟運活性化コンソーシアムTOKYO2021設立記念イベントとして、「オンラインミートアップTOKYO FUNECTION! 」が開催され、水辺に関わる有識者や大手デベロッパー、鉄道会社など全国からさまざまな立場の人たちが参加。東京の水辺と舟運の未来を語り合う一夜を過ごしました。

今回は、舟運活性化コンソーシアムTOKYO2021事務局代表の岩本唯史氏(水辺総研 代表取締役)、同事務局の企画・戦略担当の重松健氏(Laguarda.Low Architects 共同代表)、そしてゲストに高松巌氏(水都東京・未来会議ネットワーク分科会リーダー)をお招きし、事務局でPR部門を担う佐藤真里奈氏(合同会社quod)の司会進行のもと、国内外で起きている水辺の開発事例や各事業者の現状をシェアしながら、参加者とともに水辺の未来について語り合いました。

【日時】2021年9月2日 17:00〜
【場所】オンライン開催(FACEBOOK LIVE動画:https://fb.me/e/c3BaDTpvd
【プログラム】
・舟運活性化コンソーシアムTOKYO2021について(岩本唯史)
・水都東京・未来会議とのアライアンスについて(高松巌)
・ニューヨークの街を再覚醒させた舟運パワー・水都東京の潜在能力」(重松健)
・デベロッパープロジェクト紹介
【参加料】無料
【主催】舟運活性化コンソーシアムTOKYO2021
【共催】水都東京・未来会議

水辺から社会を変えていくアクション「TOKYO FUNECTION!」

「東京の水辺の新しい未来を一緒につくりながら、世界にも誇れるアクションを起こしていきましょう!」と舟運活性化コンソーシアムを立ち上げた事務局代表の岩本氏の呼びかけから、イベントがスタート。

TOKYO FUNECTION! は、オープンにフラットで今の時代らしく舟の新しい楽しみ方を探り、舟から社会を変えていく決意を表したアクションとして名付けられました。

主な行動指針は、3つ。「情報発信」「創造的連携共同のファシリテーション」「事業創出の伴奏支援」によって、よりユーザーに近い情報発信を行い、さまざま事業者がつながり協働して、舟運を通して東京の水辺の未来をつくっていくため、本コンソーシアムが立ち上げられました。

記念すべき1回目のゲストとしてお招きしたのは、水都東京・未来会議の舟運ネットワーク分科会リーダーの高松巌さんです。東京都庁にて港湾局、臨海開発部長、産業労働局観光部長など歴任され、行政OBとして見識を持っている方です。

水都東京・未来会議は「防災・舟運ネットワーク・水辺のまちづくり」をテーマに掲げ、水都東京を目指す団体として活動しています。メンバーは、行政や民間事業者などさまざまな立場でリーダーとして活動してきた方々で構成され、約30名が参加しています。

政策の提言やビジョンを示し、どのように舟運のアクションを引き起こしていくのかという点で、TOKYO FUNECTION!との連携は大きなうねりを生むのではないかと、期待を寄せながら参加されています。

パブリックとプライベートが融合する時代へ

続いて、ニューヨーク在住の建築家としてLaguarda.Low Architects 共同代表を務める重松健氏から「ニューヨークのまちを再覚醒させた舟運パワー、水都東京の潜在能力」というテーマで、プレゼンテーションが行われました。

重松氏は、世界25カ国で都市開発のプロジェクトを手がけるほか、都市建築を超えたコラボレーションでさまざまな社会課題の解決を提案する「inspiring dots」を主催しています。

重松氏の事務所では、建物のデザインの前に、まず体験やライフスタイルをデザインすることを大切にしています。コロナ禍でライフスタイルの変化が起こり、「これからは建物のコンテンツで人々を惹きつけるのではなく、いかにして周辺環境を付加価値として組み込むかが大事になってくる」といいます。

世界の水辺では、今、どのような動きが起きているのでしょうか? 

元海軍の造船所がリノベーションして、巨大コワーキングスペース「New Lab」に!

元海軍保有の造船所がリノベーションされ、スタートアップの集まる巨大なコワーキングスペースへと変貌しました。

「New Lab」は、単なるインキュベーションオフィスではなく、運営会社自体がスタートアップで、面白いと思うスタートアップ企業だけが入居するシステムになっています。偏ることなくさまざまな業種のスタートアップが集まるので、投資家らとのよいマッチングにもつながっているのだそうです。

小さな島の公園「Little island(リトルアイランド)」

2021年5月にニューヨークの憩いの場として新たに誕生したこの公園は、水上にステージが設置されていたり、一面に芝生が広がっていたり、ニューヨークのまちも見渡せる公園は、ニューヨーカーたちを興奮させ、公共空間では異例の入場の人数制限がかかるほどに反響があったといいます。

川に浮かぶプール「+Pool(プラスプール)」

ニューヨークのイーストリバーにオープンしたフローティングプールの取り組みも面白い。最新のろ過システムを採用して川から直接水を引き、きれいにした状態で川に流すという役目を担っているプールなのだそう。プールで遊ぶだけで、水質改善にもつながってしまうという考えが、ユニークで楽しい。ドネーションシステムもあり、自分の名が書かれたタイルなどを設置することもできるようになっているので、水辺空間に自分事として関わる仕組みやきっかけが随所にあります。

これはイベント内で話のあったほんの一部の事例ですが、どれも水辺空間のポテンシャルを活かした楽しい事例ばかりです。

こうした開発には開業後のメンテナンスなど維持費が気がかりですが、開発による利益を充当することで経済の循環を生み、維持される仕組みをとっていたりするのだそうです。

ニューヨークの水辺の変化を実感し、これからは「パブリックとプライベートが融合する時代になっていくだろう」と重松氏はいいます。機能や目的ごとに分断されていた空間は、境界のない空間へと変化させることで、人々が集う場所になっていくと考えています。

水上をアップデートせよ!

現在の東京と同様に、これまでニューヨークでも陸地の水辺までのアクセスの悪さはにぎわい創出の課題とされてきました。そこで、人々が水辺からアクセスする流れをつくるため、ニューヨーク市長を中心に2017年頃から元々の観光船を日常化させる取り組みが進められました。

徐々に乗り場を増やし、電車やバスと同様の金額で往来できるようにした結果、現在運行する船は38艘にのぼり、年間利用者も900万人を超えているのだそう。コロナ禍で地下鉄利用を避ける人々がいることも相まって、利用率が上がり、新たに水運が日常の光景になってきました。

こうして、水辺に対するにぎわいの機運が高まり、各所の水辺空間でイベントが開催される程度だったところに飲食店ができたり、オフィスができたり……陸と水辺のにぎわいが重なる場所が生まれています。

「陸ではライバル同士でも、水運ではみんなで手を取り合い、点ではなく面の広がりをつくることで機運を高めていけば水辺の未来も描ける。放っておいてもオープンスペースとなり得るウォーターフロントを利用しない手はないですよね」と重松氏は参加者に訴えかけます。

道路を人に開放する「G-LINE」構想に対して、10年前から水路を開放する「B-LINE」構想を提言してきた重松氏によると、ニューヨークと隅田川を同じスケールで見ると、ほぼ同じ距離だということがわかります。

「陸のデベロッパーたちが協力しあい、強固な水運ネットワークをつくっていくことが可能なのではないか。東京にも可能性は十分に秘めている」と重松さんは強調します。

重松氏のプレゼンテーションを聞いた高松氏は「ニューヨークで体感し、重松さん自身がまず『私たちも東京でできる』と信じていることそのものが素晴らしいですね。民間からアクションを起こし、人が集まることによる不動産価値を上げていくような、まちづくりの仕方が重要になってきますね」と改めて気合いが入った様子。

岩本氏も「東京にも水辺のワクワクをつくる人たちはたくさんいるはず。できない理由を並べてそのままの状態にしているのはもったいない。自分たちで未来をつくるという姿勢が、今後ますます大事になってくるのではないでしょうか」と、参加するデベロッパーのみなさんに投げかけました。

「付加価値を家賃に変えるビジネスモデルをつくること、そして公共貢献をしたら固定資産税を一定期間ゼロにするインセンティブを導入するなどの制度が整備されることで、より水辺の開発も加速していき、床をつくらずとも経済が回る仕組みはできる」と重松氏は考えています。

また、東京の水辺の現状についても岩本氏からシェアされました。行政主導による船着場の整備状況を見ると、相当数の計画や実行がされています。

各船着場がつながっていけば、ニューヨークのように水辺が人々のライフスタイルに溶け込む価値提供が可能になりそうです。

つながりを開発に活かそうとする事業者たち

最後は、当日参加していたデベロッパーの紹介とともに、それぞれがどんなエリアでどのような開発をされようとしているのか各社のプレゼンテーションがありました。

竹芝エリアマネジメント(東急不動産)・竹芝タウンデザイン(JR東日本)

デベロッパー紹介は竹芝エリアの開発メンバーから。

2020年に相次いで開業した「東京ポートシティ竹芝」と、「ウォーターズ竹芝」がある竹芝地区。 竹芝エリアマネジメントが港区から占用許可を受けている水辺一帯に、JR東日本が船着場と干潟を整備。 船着場からは浅草・両国・台場・葛西などへの定期船が発着するほか、干潟では環境再生教育活動も実施しています。

野村不動産

続いて、芝浦や外神田の開発を手がける野村不動産のご紹介です。

・芝浦一丁目プロジェクト※東日本旅客鉄道(株)との共同事業

駅から施設までのアプローチに緑道を整備し、芝浦運河に面している環境を活かして、船着場、水上テラスを整備します。また、都が所有する日の出埠頭の一部を借り受けて陸の建物(Hi-NODE)を整備しています。

・外神田(2028年度竣工予定)

神田川沿岸に親水広場、船着場を整備し、周辺の商業施設とも連携した空間をつくろうとしています。

三菱地所

内神田一丁目計画として、26階建てのオフィスビルの建設とともに、水辺広場や船着場の整備、観光コンテンツとなる舟運活性化に取り組もうとしています。

快適な水辺環境に誘うため、船着場を拠点に、まち同士をつなぐ「ミズミチ」の整備をすることを意識した計画が進められています。今回集まったデベロッパーや参加者と連携しながら一緒に盛り上げていきたいと考えています。

東武鉄道

隅田公園の再整備、東武鉄道高架下商業施設「東京ミズマチ」の開発、北十間川への河川テラス、小梅橋船着場や東武鉄道隅田川橋梁への歩道橋「すみだリバーウォーク」の設置の整備を地元自治体である墨田区と協働で実施しました。

墨田区と台東区をつなぐ動線づくり、観光面では向島エリアと両国・本所エリアをつなぐ拠点として一体的に開発され、現在、隅田公園を起点ににぎわいをみせています。今後、活用促進する中でエリア一体の運営のあり方を検討中とのことでした。

また、墨田区は舟運の社会実験も行っていて、陸と水辺をどのようにつなげていくか小さなイベントなどを試みながら、舟運事業者と共に可能性を探っています。

重松氏のニューヨークの水辺開発の事例は特に参加者のみなさんにとって参考になり、大いに刺激になったようです。「ニューヨークの事例、日本のデベロッパーたちの取り組みはワクワクしますね!」とチャットのコメント上でも盛り上がっていました。

「いかにみんなで盛り上がりをつくっていくのか、単体ではなくつながっていろいろなことをやっていきましょう」と高松氏も決意を新たにされていました。

「点ではなく面で盛り上がりをつくり、そろそろ日本の本気を見せていきましょう!世界中が視察しにくるようなワクワクできることをやっていきましょう」と重松氏の言葉で締めくくられ、本編のイベントが終了しました。

その後のオンライン交流会でも、参加者たちとともに熱いトークが繰り広げられました。舟運活性化コンソーシアム設立記念とした初のイベントとして本来はリアルな場で交流することが叶いませんでしたが、東京の水辺にもワクワクがある。自分たちは何ができるのだろうか? そんな次のアクションにつながる、一夜でした。

当日の様子は、舟運活性化コンソーシアムのFacebookページからご覧いただけます!

この記事を書いた人
草野明日香
新卒で大手鉄道会社に入社し、営業や開発部門を経験。2017年よりフリーライターとして雑誌WEB記事、創業者などインタビュー記事の執筆を行うほか、地域のフリーペーパー、パンフレット制作等の編集も行う。また、地域や人を応援できる場づくりとして「スナックあすか」のイベントも実施している。個人理念は「お互いの物語を語り合い、人と人の物語のきっかけになる」。編集者として、関わる人たちのそれぞれの物語を見いだし、物語を持つ人同士をつなぎ、未来を描くきっかけをつくっている。趣味は、お酒、旅行、お笑い鑑賞。
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