2021年11月、劇団四季のミュージカル「アナと雪の女王」のチケットがとれたので、子供の二人で見に行くことにしました。
劇団四季は東京のフラッグシップシアターとして、ウォーターズ竹芝に「春」と「秋」を2020年にオープンさせています。浜離宮を臨む水辺につくられて、同施設の関連施設として船着場も整備されているので、東京の劇場には珍しく、船でのダイレクトアクセスが可能なのです。
せっかくなので、小学校二年生の子供に提案してみました。ゆきだるまつくるのどう?と同じノリで「船で行くのどう?」と聞いてみたら、速攻「いいね!」が帰ってきた。手前味噌ですが、我が子のノリが良くて助かります。
竹芝地区には3つの船着場があるけど、ウォーターズ竹芝の前には一つしかない
ウォーターズ竹芝の船着場は、正式名称「竹芝地区船着場」といい、ややこしいのですが、竹芝の名前がついた3つ目の船着場です。一つ目は東海汽船が伊豆七島航路の母港としている竹芝客船ターミナル。もう一つは、港湾局が視察船「東京みなと丸」の母港としていて、民間の小型船にも開放している竹芝小型船船着場。
筆者はわかっているから問題ないのですが、竹芝地区船着場という正式名称を聞いて一般のユーザーはオリエンテーションできると思えないのです。「ウォーターズ竹芝船着場」とは諸般の事情があって名乗れないそうなのですが、許認可を司る担当者さんもユーザー目線で考えてくれればいいのにと思うところです。
定期船を選ぶ
さて、ウォーターズ竹芝の船着場には、定期便が頻繁に就航しています。私の家は目黒区で、最寄りといえば五反田リバーステーションの船着場なのですが、ここからはそもそも定期便がありません。どこかまでちょっと遠くなったとしても電車などで移動して乗ることにしました。水上バスといえばお台場か、浅草でしょうか?
水上バスの定期便を就航しているのは東京では3-4社あります。そのうちウォーターズ竹芝の船着場へは3社が就航しています。(東京都観光汽船、観光汽船興業、東京水辺ライン(東京都公園協会))
ウォーターズ竹芝のウェブサイトには丁寧にどんな船が就航しているか紹介していて、各社へのリンクも貼ってあります。
本来であれば、このページを見れば一目瞭然。どの船に乗ればいいかわかるはずなのです。ただ残念なのはコロナ感染症対策や、オリンピックパラリンピックの特別な事情によって、現在のダイヤやコースは各社のウェブサイトを見ないとわからないという点なのです。
どの便にするか
アナと雪の女王の講演は、12:30にはじまります。少なくとも30分前には着いておきたいと思います。
まず東京都観光汽船のウェブサイトを見てみると、まず船着場の名前でつまづきました。浜松町(ウォーターズ竹芝前)。正式名称と違いますが、ここがウォーターズ竹芝の前の船着場です。そして乗船する時間は書いてあるのですが、下船時間がよくわかりません。「目的地が決まっているが乗船場所はどこでもいい」私のような客(そんなやついるのか?)には不都合なつくりになっていました。
予約サイトからの検索。日程を設定し、予約できる船を検索。ここでは下船する船着場を先に設定できるようです。ウォーターズ竹芝を選んで乗船できる船着場をみると、豊洲か浅草が選べるようです。残念ながら時間があわず。
観光汽船興業さんは、小さめのアーバンランチという船の定期船を運行しています。豊洲、お台場、日本橋などを結んでいます。
こちらのウェブサイトを拝見すると、ウォーターズ竹芝前には豊洲からいけるようですね。
観光汽船興業さんの豊洲発は12:10発で所要時間25分。惜しい。
もう一社あります。東京都公園協会さんが運行している水辺ライン。3社もある東京すごいとおもいませんか?
当日にならないと運行スケジュールがわからないようで、当日改めて見てみると、浅草発はもうその時間には間に合わず、その便が越中島に寄るところで乗ると、12:10に竹芝に着くと言うので、こちらの便に乗るべく、急いで子供と出発。日比谷線、京葉線を乗り継いで越中島駅へ。
チケットはどうするか。有人発券場がある船着場とない船着場あるようで、越中島はないほうらしい。
ここまででけっこう苦労を重ねた気分です。
いざ船着場へ!
越中島駅から越中島船着場駅までは、だいたい3-400mの距離。ちなみに駅構内に船着場への案内はありませんでした。A1出口を出て、清澄通りの歩道橋を越えて渡り、川の方へ歩いていくとそこに越中島の船着場があります。
着いたときには、すでに目的の船、さくら号が越中島船着場に右舷付けするべく回頭しているところでした。
船へはあっさり案内されました。
乗船までは段差がなく、スムーズなのですが、船そのものに段差があって、残念ながらユニバーサルデザインではありませんでした。
車椅子での乗船は介助が必要なようです。介助用のレールが見えるので、ステップが昇降するのだとおもいます。
この辺り、船齢がすでに30年越えているのでバリアフリーの基準の変遷が感じられます。
あるいは、自転車でそのまま乗船するのはできなくて、一般的な電車同様、袋に入れた状態で大型の荷物として扱われるようです。
ちょうアナログなチケット発券
チケットを購入してまず船内を見回すと、前部に船室。テーブル付き対面シートが並んでいます。
後部はオープンエア。無骨なスチール製の船体の構造を味わいます。
さらにその上へは階段で上がれるようになっており、デッキに上がれます。
子供のテンション上がりすぎ !
船内は大きなエンジン音が轟きます。合間を縫って、テープで周辺の案内がなされていますが、残念ながら耳に残りません。それより何よりも景色と空気を楽しみたい。
途中明石町の聖路加ガーデンの前に立ち寄ります。そこでもお客さんの出入りがあります。
勝鬨橋を通ります。子供に勝鬨橋が昔跳ね橋だったことを伝えます。昔ここには大きな船が出入りしていたことを伝えました。子供にとっては、東京の原風景は今の東京でしかありませんが、歴史が連続していることは伝わったでしょう。
様変わりした旧築地の魚市場を過ぎ、浜離宮の防潮堤を越えて汐留川水門から浜離宮の方へ入って行きます。
すると目の前に、劇団四季の劇場が目に飛び込みます。
短い船旅はここで終わりです。子供は急いで降りようとします。私はもうちょっと余韻に浸りたくて少し景色を眺めていました。
船着場のタラップを通って、ウォーターズ竹芝の広場に降り立つと、いつもと違う街に見えてきます。船でアクセスする街。日常とは切り離された体験が、これから始まるであろう劇場での非日常な体験をさらに後押しします。
ミュージカルが始まるまでまだ時間があります。
子供と2人で飲み物を買って広場でくつろぐことにしました。
アトレの中に入る店舗は、水辺ラインの半券を見せると10%オフになるというキャンペーンをやっています。
船でミュージカルを見にいく体験は実際どうだったのか?
やってみると、とってもいいですよ。できる人、浅草やお台場、両国、越中島、明石町などに住んでいる人はぜひやってみてください。船着場の場所と船の時間さえ知っていれば、簡単に体験できます。ただ、そのハードルはかなりまだ高いです。
舟運活性化コンソーシアム TOKYO2021では、ユーザー目線で舟運が活性化することを今後様々な場面で訴えていきたいと思います。
アナ雪もお勧めします。ぜひ船とミュージカルのセットで、東京のあたらしい水辺のまちを体験してみてください!